RUNNERS HIGH -福祉のミカタ-

記憶のなかには僕がいた。大切なことは今すぐ伝えたい

先日、母方の祖父の米寿の祝賀会で福岡に帰省した際に父方の祖父にも会いに行った。

甘いものが好きな祖父のために饅頭を片手に。

不安な気持ちもあった。

僕のことを覚えているだろうかと。

前回、帰省した際は僕のことに気づいていなかったように見えた。

老人ホームの入り口に差し掛かり

『覚えていますように』

と心の中で祈った。

ただ、テレビを観ている祖父に声をかけると僕のことが誰だか分かっていない様子。

祖父は困惑をしていた。

僕がまだ幼いころ、よく小学館の付録を組み立ててもらっていた記憶や

畑に連れて行ってもらった記憶がこみ上げてきた。

もう祖父には思い出されることはないのだろうか・・

たくさんのことを与えてもらったにも関わらず、まだ何も恩返しができていない。

忘れたくない記憶

そのときに一緒に来ていた妻が祖父の耳元で僕が来ていることを説明してくれた。

妻は介護に携わっていて、いまは地域の認知症に対する理解を広げる仕事をしている。

妻が話し終えると、祖父は涙を流しながら頷いていた。

どうやら僕の最近の記憶が薄れていたようだった。

饅頭を受け取って、手を合わせて

「ありがとう」

とつぶやいた。

まだ祖父のなかに僕がいたことに嬉しくてたまらない気持ちだった。

忘れるのではなく、覚えられない

なぜ認知症の患者は昔のことを忘れていないのに、

最近のことを忘れてしまうのか。

それは、情報を受け止める機能が弱まってしまうからだ。

忘れるのはなく、覚えられなくなっている状態となるという。

例えば昨夜食べた夕ご飯について聞いたときに忘れているときのケース。

ただの忘れやすい人であれば、ヒントを与えると思い出せる。

だけど、認知症の人は食べたこと自体を忘れてしまうのだ。

この事実を知らない人はもしかしたらまだいるのかもしれない。

認知症の人は完全に大切な人の存在を忘れているわけではないということ。

記憶のなかにはいるけれど、最近の出来事を覚えたていないだけ。

そのことを知っているだけで、ショックはなくなる。

僕は今のこの気持を忘れたくない。

だから、鮮明なうちになんとしても書き綴りたかった。

大切なこと。

伝えたいことは、すぐに伝えたい。

僕は、「いつもありがとう」

と祖父に伝えた。

そして、相手の傷つく言葉をかけない。

これは、祖母との別れのときに誓ったことだ。

後悔のない人生にしよう。

時は決して戻らないから。

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